なぜ損切が出来ないか?レジ袋の有料化から解説します

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なぜ損切が出来ないか、レジ袋の有料化から読み解く

一見関係なさそうな題ですが、行動経済学の面からみると実は大いに関係しています。
今年7月からレジ袋の有料化が始まりました。人々はマイバックを持参して買い物をするようになりましたが、
有料化の目的は、海洋汚染を減らすこと。しかし、レジ袋はその影響度が低くないにしろ高くもないのです。
どういうことかというと、環境負荷を減らすため、今までよりもプラスチック全体を使わない習慣を狙っているのです。

さて、本題に戻ります。
マイバックを忘れてコンビニに入りました。1枚5円です。といわれ、そうだった、マイバックを持参すればよかったと思った方は多いはず。
何故か?
今まで無料だったものが有料になったため。
でもたかが5円じゃないか。。。と、思えないのは何故?

これは、心の会計で説明すると、
店員さんに言われる瞬間まで、たかが5円でもレジ袋を買うと全く思ってなかったからです。
心の会計でレジ袋に5円の仕分けが行われていないから、事前に有料だよね。それでも買おう。
と思った時に比べて心の葛藤、振れ幅が大きくなるのです。

それでは、どれほどの振れ幅になるのか?
「損するのは嫌だ」という”非対称性”で説明できます。
1万円をなくしたときに感じる不幸感は、くじで1万円を当てた時の喜びよりもずっと大きい。
経済学者のドヴァスキー曰く、「人は肯定的な刺激よりも、否定的な刺激により敏感だ」と言っています。
同じ金額なら、損失は儲けの2~2.5倍に評価されることが分かっています。

レジ袋に置き換えると、心の仕分けがなされていない時のレジ袋1枚に5円はらう強度は
10円から12.5円を払うことと釣り合うということです。
だから1枚5円ですといわれると、それ以上の損失を感じてしまうのです。(実際マイバック持参なら0円なのに。と)

翻り、投資で相場が下がっているけど、いずれ回復するはずという「アンカリング」(以前高値だった頃が船の錨の様に心の第一印象に残っている状態)が働き、追認バイアス(一旦買ってしまうと、他のものよりも自分が持っているものが有利に見える)も手伝い、回復しない相場の中で塩漬け(回復するまでは売れないので放っておく状態)になるのです。
これは、先の心の会計と損をしたくないという非対称性も絡んで塩漬けで、売却判断を先送りさせます。

少し話は変わりますが、レジ袋有料化に先立ち経済産業省などが行動経済学の”ナッジ”(人々がより望ましい行動を自発的に選択するよう誘導する政策手法)を利用してレジ袋を要るか要らないかの施行実験を実施しています。


経済産業省HP
ナッジを活用した庁舎内店舗におけるレジ袋削減の試行実験の結果
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200327016/20200327016.html

以下、経済産業省HP引用
これによると、「レジ袋を配布する」をデフォルト(初期設定のこと)とし、不要な場合に「辞退カード」を提示してもらうようにした店舗では、取組の前と比べて辞退率がほとんど変化しませんでした。

一方で、「レジ袋を配布しない」をデフォルト(必要な場合に「申告カード」を提示してもらう)にした店舗では、辞退率が大幅に上昇しました。さらに、カードの設定を無くした後も、一定の辞退率を維持しています。

以上を踏まえると、カードの種類以外にもさまざまな条件が店舗間で異なるので、厳密な効果測定はできていないものの、「配布しない」をデフォルトに設定することがレジ袋の削減に有効である可能性がうかがえます。
また、海洋ごみの写真等、ビジュアルに訴えかける方法も有効かもしれませんし、カードを無くした後も辞退率が一定程度高いままなので、行動が定着する可能性も期待できます。

引用によると上記の結果が得られたということです。
レジ袋でナッジが有効なのであれば、損切ができないという方の考え方にもナッジを利用して、こういった仕組みの中で生きていて、判断を下しているんだ。
ということが認識できれば、それだけで損切ができない。に対する考え方も変えることが出来そうです。

それは、つみたて(資産形成)の専門家である私の仕事でもあると今回のブログを書きながら思った次第です。

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